絓秀実『日本近代文学の〈誕生〉』(太田出版、1995年)入荷しました。

日本近代文学研究の分野では、柄谷行人『日本近代文学の起源』(講談社、1980年。後に岩波現代文庫、2008年)と同じくらいに重要な著作だと思うのですが、どういう訳か再版や文庫化の噂を一切聞かないので、この機会にぜひ。

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われわれの文学(そして、「国語」)は、国民=国家による戦争の総括形態にほかならないのだ。本書にささやかな目論見があるとすれば、ドゥルーズ/ガタリ的に(あるいは、ピエール・クラストル風に)言って、本書が国民国家に抗する小さな戦争たらんとしているということである。(「序論 子供たちの「革命」と「戦争」より)

 

【目次】

序論 子供たちの「革命」と「戦争」

第一章 俗語革命と「詩」──B・アンダーソン|アウエルバッハ|二葉亭四迷|山田美妙|宮崎湖処子

1 詩と散文、あるいは特殊と普遍

2 「改良」運動の「革命性」

3 政治の美学化

4 さまざまな言文一致体

第二章 「没理想論」のコンテクスト──坪内逍遥|森鷗外|二葉亭四迷|嵯峨の屋おむろ

1 俗語革命の「停滞」?

2 「挿評」問題とは何か

3 初期「である」体と「没理想」

第三章 国民的想像力のなかの「女」──二葉亭四迷|森鷗外|嵯峨の屋おむろ

1 『浮雲』における唯一の「である」体

2 「舞姫」の「帝国」

3 言語的秩序を揺るがす「くされたまご」

第四章 「父」の審級──坪内逍遥|広津柳浪|尾崎紅葉

1 逍遙から硯友社へ

2 女性一人称の「語り」

3 言文一致における非人称の話者の成立

第五章 鏡のなかの「女流」──巌本善治|若松賤子|田辺花圃|樋口一葉

1 明治期におけるフェミニズム

2 「仮の名」としての女

3 「父の名」を持たぬ者たち

第六章 詩の先行、詩の後行──『新体詩抄』|国木田独歩|北村透谷|島崎藤村|川路柳虹

1 五七調から七五調へ

2 詩的フォルマリスムの展開

3 言文一致体批判と口語自由詩

第七章 写生における「長さ」と「難解」──正岡子規

1 俳句のフォルマリスム

2 小説家としての子規

3 ナショナリズムと写生理論

第八章 「国民作家」の誕生──夏目漱石

1 日露戦争と新体詩の創作

2 エクリチュールの「鏡像段階」

3 猫の綴る象形文字

補論 消滅する象形文字──『こゝろ』を読む

1 心理小説をこえて

2 主=人としての死者たち

3 漱石という「K」

あとがき

初出一覧

 

 

 

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