足立和浩『笑いのレクチュール』(青土社、1986年)

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従来の笑い論では、人が笑うのは他者の欠陥をあざ笑うためで、笑われる対象に対して人は優越感を抱くのだ、とされる(「嘲笑=優越理論」)。これは「万人は万人に対して狼である」という近代主義的な偏見である。一方、著者の足立和浩は、人は笑いによって他者を許容し、くそ真面目な秩序から解放されるのだ、という(「許容=解放理論」)。本書はレオナルド・ダ・ヴィンチ、マルセル・デュシャン、岸田劉生、セルバンテスなどの作品を笑いとともに論じつつ、気詰まりな近代主義を批判しようとする試み=エッセイである。

 

【目次】

はじめに

序論 笑いとは何か

嘲笑理論と優越理論 許容理論と解放理論 笑いの価値の価値転換 近代合理主義と笑い 休講しない人カント すべての良きものは笑う

第一部 絵画と文学に読む

Ⅰ レオナルドと笑い

微笑の「表情学」 モナ・リザはやぶにらみ? 歯の笑い モナ・リザ近代版《真珠の女》 「引用」のモナ・リザ

Ⅱ デュシャン/劉生と笑い

「パロディ」のモナ・リザ 限界の感覚 「リチャード・マット事件」 問題:次のフランス語を和訳せよ 「麗子」の笑い 「焼きちくわ」の笑い

Ⅲ セルバンテスと笑い

『ドン・キホーテ』の近代的解釈 『ドン・キホーテ』の楽しい読み方 距離の笑い ドン・キホーテの実像 ドン・キホーテの「狂気」 付論一:ドン・キホーテのとり違え 付論二:与太郎とドン・キホーテ

第二部 音楽に読む

R・シュトラウスと笑い

序奏 憂い顔の騎士ドン・キホーテ

第一変奏 騎馬更新、風車の冒険

第二変奏 羊の群れの冒険

第三変奏 サンチョの望み、きまり文句と諺

第四変奏 行列の冒険

第五変奏 ドン・キホーテの夏の夜の想い

第六変奏 ドゥルシネア

第七変奏 ドン・キホーテの空中騎行

第八変奏 船に乗って

第九変奏 修道僧への攻撃

第十変奏 大一騎打ち、帰郷

終曲 ドン・キホーテの死

あとがき

 

 

 

 

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