名著『ドラキュラの世紀末 ヴィクトリア朝外国恐怖症の文化研究』(丹治愛、東京大学出版会、1997年11月19日初版)が入荷しました。

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この本は、ブラム・ストーカー(1847-1912)の『ドラキュラ』(1897)に秘められた謎について、作品が出版された当時のイギリスが抱えていた外国恐怖症(ゼノフォビア)の点から解明する、というもの。

どんな謎かというと、たとえば

① そもそも、なぜドラキュラはトランシルヴァニアからはるばるイギリスのロンドンへ侵略/侵入しなければならなかったのか。それは西暦何年のことなのか。

② なぜドラキュラのロンドンの住居は「ロンドンの東近郊」のパーフリートであり、貧しいイースト・エンドのチックサンド・ストリートであり、バーモンジーのジャマイカ・レーンであり、富裕なウェスト・エンドのピカディリでなければならなかったのか。

③ なぜヴァン・ヘルシングはオランダ人でなければならなかったのか。

④ドラキュラに立ち向かう5人の「善良で勇敢な男たち」のうち、ヴァン・ヘルシングとシューワードと、なぜ2人とも医師でなければならなかったのか。

⑤ なぜクインシー・P・モリスはアメリカのテキサス州の出身でなければならなかったのか。

⑥ ドラキュラに立ち向かう5人の「善良で勇敢な男たち」のうち、なぜひとりクインシー・モリスのみが命をおとさなければならなかったのか。

(同書p.5より)

おそらく大学一年生向けの一般教養科目の講義に基づいた内容なので、ガチガチの研究書というよりもむしろ近代英国文化研究の入門書とも言うべき本です。

 

 

【目次】

イントロダクション

1 ドラキュラの謎

2 ドラキュラの年は西暦何年か

1887年説 1893年説 1898年説

帝国主義の世紀末

3 侵略恐怖と海峡トンネル計画の挫折

侵略恐怖 ドーキングの戦い 海峡トンネル計画 海峡トンネルパニック 海峡トンネル計画の挫折

イギリスの仮想敵国 侵略恐怖の構造 反転した植民地化の不安

4 アメリカ恐怖と「栄光ある孤立」の終焉

島国としてのアイデンティティ 栄光ある孤立 アメリカ モンロー原則 アメリカの帝国主義的拡大

ヴェネズエラ国境問題 アメリカにたいするアンビヴァレンス

反ユダヤ主義の世紀末

5 ユダヤ人恐怖と外国人法の成立

東欧ユダヤ人移民 ロンドン ユダヤ人としてのドラキュラ ユダヤ人の拡大と孤立 ユダヤ人の上昇と寄生

トランシルヴァニア

6 混血恐怖とホロコースト

人種論的反ユダヤ主義 『わが闘争』 混血恐怖 ドラキュラの復讐 ホロコーストとしてのドラキュラ虐殺

パストゥール革命の世紀末

7 コレラ恐怖と衛生改革

コレラのパンデミック化 コレラ恐怖 ハンブルク 外国恐怖症としてのコレラ恐怖 バーモンジー

8 瘴気恐怖と細菌恐怖

嗅覚革命 瘴気恐怖 パストゥール革命 細菌恐怖 死毒 殺菌/消毒 軍事的隠喩 細菌とユダヤ人

おわりに

外国恐怖症 文化研究 文化研究の学際性

 

 

 

 

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