谷崎潤一郎が昭和7年に中央公論社から『盲目物語』を出版したとき、はしがきにこんなことを書いています。

此の書の装幀は作者自身の好みに成るものだが、函、表紙、見返し、扉、中扉等の紙は、悉く「吉野葛」の中に出て来る大和の國栖村の手ずきの紙を用ひた。

つまり、この単行本に使われている紙(現実世界にある紙)と同書に収められた中編「吉野葛」で触れられている紙(虚構世界にある紙)とは同じなのだというわけです。この洒落によって、読者のなかで現実と虚構が一瞬でも通じ合えば、ということなのでしょう。ここからフィクション論をものすることもできるのでしょうが、ここではそんな小難しいことはしないで、「和紙の本はいい!」という話をします。

古い本、特に明治期から昭和初期にかけての本を扱っていると、その造本の美しさや巧みさにうたれることがありますが、それより何より「触っていて気持ちいい」本が多々あります。
人が触覚から得る情報が、他の器官(とくに眼)と比べていかほどのものかはよくわかりませんが、気持ちいい肌触りの本は他の本よりも売れるんじゃないでしょうか。
和紙をふんだんに使った本が好きですが、クロス装(布で装幀された本です)もいいですよね。
売れる本をつくるヒントは案外にこんなところにあるのだと、けっこう本気で考えています。てゆうかもっと作ってよ。

先日入荷した日夏耿之介の『聴雪廬小品』(昭和15年刊)も触り心地で頭一つ抜きんでています。ご興味のある方はぜひどうぞ。

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