荒俣宏『アラマタ美術誌』(新書館、2010年)入荷しました。

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本書が教えてくれるのはまずヒトはどうして絵を描くようになったのか? なんと絵が描けたために滅亡をまぬがれたというのです。美の思想は東西で違うにもかかわらず、騙される快楽、イリュージョンの快楽は共通しているわけを豊富な図版で説明。さらに、太古から現代までの装飾美術の秘密を解き明かして、肥満とダイエットの美術史! を展開。ついにヒトはなぜ悪趣味を求めるのかを論じて大ドイツ芸術もバッドテイストだったことを証明して美醜の起源とその消滅にまで説き至る、わあ、さすがはアラマタ美術誌だ!(帯裏文より)

この『アラマタ美術誌』がここ数年に刊行された美術入門書として最も優れている理由は、以下の3点にあります。

  1. 「人はどうして絵を描くのか?」という根本的な問いに答えている。
  2. 古今東西の美術作品を楽しく鑑賞するための基礎概念をわかりやすく説いている。
  3. 絵画や彫刻だけではなく、建築やファッションまで幅広い話題を扱っている。

美術入門書としてはもちろんのこと、荒俣博物学への最初の一冊としてもおすすめです。

 

【目次】

第一章 ヒトはどうして絵を描くようになったのか

1 影の叡智と光の啓示

影の偉大なる導き/われわれは絵が描けたために滅亡をまぬがれた?/「影学」へのアプローチと、その方法/プラトンは「アイドル」を嫌い「アイデア」に走った/光と闇をともに「影」と呼んだ東洋のセンス/ダーク・シャドーと「影響力」の関係/絵画にもカゲの力が必要だった/人工のイドラの誕生/画家は「陰陽師」である/いよいよ影が邪魔になる/「影殺し」——そして、透過光の中での「影の蘇生」

2 イリュージョン——歪めて視る真実

影もまた真実を語る力があった/イメージとイリュージョンの抗争/シュルレアリスムとアナモルフォーズ/だまされる目と脳/チャンス・イメージとシミュラクラ

第二章 装飾芸術論——「濃いアート」は秘密だらけ

1 東の鏝絵と西のグロッタを並べてみれば、見えて来るくる、装飾の魔界

「うわべを飾るアート」とは何か/時差出勤がなくなり、共存できなくなった妖怪の教訓/鏝絵とは何か/機那サフラン酒本舗の鏝絵は異国の装飾も連想させる/濃い——ぃ装飾は、ひねくれモノに愛された?/「なまこ壁」こそ鏝絵の母/伊豆長八と左官の役割/「おまけ」だからすごかった鏝絵/左官にまつわる職業上の秘密/左官の歴史と時代の変遷は、パラレルに流れる/鏝絵のたそがれとスローライフ/鏝絵の世界と、その作例/伊東忠太と装飾の進化/西洋もまたシンボルと装飾だらけだ/西洋の装飾に分け入る/トロンプルイユは西洋の十八番/エンジニアの復活と「フリーメーソンの逆襲」/装飾とファンタジーの相互依存/究極のフォリー、「グロッタ」/水と洞窟とエロスの誘惑

2 「見えない美学」の猛攻——構造VS装飾の死闘

エンジニアの登場/アーティストはエンジニアに勝てたのか?/反近代の闘将と、装飾リバイバル/肥満とダイエットの美術史とは何か/ジャポニスムと「ダイエット」のススメ/日本美術は肉食を開始して太りだした!/ゴシック・リヴァイバルまで理解する/装飾のための建築/取り合わせの妙

第三章 差別する美学——ヒトはなぜ悪趣味を求めるのか

1 悪趣味だって? どこが?

テイストとは、「好み」なのか、「味」なのか?/臨画・写生画・思想画の流れ/よいテイストを身に着けること/ピカソが開けた「パンドラの箱」/風俗による反乱は日本が本家?/バッドテイストと「遊び」の精神/湯女と浮世風呂の世界観/日本のバッドボーイと「風流」/ヒトラーの美術狩り——悪趣味から「危険な毒」へ/退廃は劣等よりも強毒である/美術の戦争の果て/退廃芸術家と名指しされた人々/大ドイツ芸術も、じつはバッドテイストだった/バッドテイスト成分とは何か、どこが悪いのか?/もうひとつのバッドテイスト成分

2 人間のランキングについて——美醜の起源と消滅

容姿にも厳格なキャラクターが求められた/頭の形でキャラクターが分かる?/キャラクターと占星術/精神の解剖学/バッドボーイは形に表れる/うわべを変える技術の誕生/美人コンテストは骨相学の末裔か?/昔もあった、美容整形の誘惑/敗れ去る内部の善美/劣等感を超える超ダークサイド/内心の美が信じられない/「パーソナリティ」の登場/個性は「手書きの手紙」のようなもの/裸の女王のボディ・コンシャス/ネイキッド(naked)からヌード(nude)へ/靴を履くヌード/結論——ファッションの陰謀

索引

 

 

 

 

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