多木浩二『それぞれのユートピア 危機の時代と芸術』(青土社、1989年)は主に1988年から1989年にかけて雑誌や図録に発表された論考をまとめたものです。本書で、扱われる芸術家は多岐にわたりますが、共通するのは、危機の時代に彼らが何を「ユートピア」として求め、生きたのか?という主題です。

 

本書は三部に分かれている。第一部では現在の芸術(キーファーとロンゴの芸術)がもっとも生ま生ましく私を貫いていった経験を語り、第二部は一九二〇〜三〇年代を生きた立場の異なる芸術家に直接会って得た証言をもとにし、第三部は二〇〜三〇年代に直接、間接に政治に関わったいくつかの芸術について、それぞれの期待や断念(放棄ではない)を辿った。(「はじめに」より)

 

b000421a

【目次】

はじめに

Ⅰ きみは歴史のどこにいるのか 現代芸術からの問い

「鉛の本」まで アンゼルム・キーファーの黙示録的世界

はじめに/写真あるいは仕事場/本あるいは物語ること/絵画あるいは物質/寓意としての「鉛の本」

メメント・モリ ロバート・ロンゴの「メン・イン・ザ・シティーズ」

ボディ・ブロー/「人称」が消失するとき/ラスト・ダンス/「瞬間」という歴史/アンチ・クライマックス

Ⅱ 宿命としての時代

ブレーカーの庭 精神と身体の政治学

はじめに/なぜ古典主義へ向かったか/歴史の激変のなかで/第三帝国の芸術家として/終わりに

クライスト・シュトラーセでの対話 ユリウス・ポゼナーの建築思想

はじめに/「近代建築」への視野をいかにもつべきか?/「機能」とはなにか?/建築の基盤としての「市民的生活」の概念/建築は歴史的に変化する概念である/現代建築の課題

フランクフルトの台所 二十世紀のイデオロギーとしての機能主義

はじめに/第一次大戦後の住宅事情——ウィーンとフランクフルトの場合/家事への関心/ジードルンクのシステム

Ⅲノアの方舟

ニューディール時代の視覚的表現 WPAとFSA

二つの政治的文化現象/WPAの活動とはなんであったか/記録する視線——FSAの写真

あるイラストレーターの修辞学 ノーマン・ロックウェルとアメリカの「希望」

「夢」の代弁者/小さな物語/「自然」な視覚

グロスのベルリン

世界都市、ベルリン/大戦前のベルリン/戦争の災厄からワイマール共和国へ/グロスとアメリカの夢

ニューヨークのレーニン ディエゴ・リベラのRCAビル壁画

異質な思想の共存する空間/ロックフェラー・センター——文化と資本/リベラとメキシコの壁画運動/アメリカへ、そしてRCAビルへ

「メキシコ」の政治神話 エイゼンシュテイン、トロツキー、ブルトン

吸引力の中心/カーニヴァルの社会/政治家と芸術家/可能性を暗示する世界

ル・コルビュジエの一九三〇年代 芸術としての都市

建築の政治学?/経済危機とル・コルビュジエ/ムソリーニへの接近/隠喩としてのアルジェ計画

あとがき

初出一覧

 

 

 

 

四畳半文庫はさまざまな種類の本の買取をしております。埼玉県内および近郊には無料で出張買取もいたします。宅配着払いでもOKです。現在、買取査定額20%増。お気軽にご相談下さい。